レポート

まちづくりセミナー2018

まちづくりセミナー2018 第2回講演録 講師:園田聡氏

2019/08/12 

まちづくりセミナー2018 第2回講演録

 

日程:平成3012714:0016:00

会場:富山市民プラザAVスタジオ

主催:NPO法人GPネットワーク

 

 


僕の人生とプレイスメイキング

 

                 有限会社ハートビートプラン 園田聡氏

 

 

所属している、ハートビートプラン

事務所HPのメンバー紹介には、特技を書いている

代表の泉氏の特技は、ビール一気飲み

創立13年を迎える事務所

 

僕らがつくるのは、パブリックライフ

都市計画コンサルタントの仕事は受けない

我々は、昼酒を推奨しています

動機は常にシンプル

川を眺めながらビールが飲めたら楽しいね

そんなシーンができるように仕掛ける

水辺にはポテンシャルがあるので、水辺でデートできるような空間にする

 

北浜テラス

ビルオーナーを登記簿から調べて、3人のオーナーとの交渉に成功

都市計画の制度等を調べ活用、前例はなし

中之島公園は、元々はブルーシートの多いホームレス拠点

水辺を活用したフェス等を実験的に継続することで定着

水辺から陸上を取り込んでいく

 

水都大阪

大阪府・大阪市・商工会議所が実施している

橋を1本ごとにデザインコンペを実施

 

中之島漁港

大阪で美味しい魚が食べられるようにしたい!の想いから(4年間限定)

宮崎の漁船団⇆大阪80店舗のポテンシャルから、新しい会社を設立

売上の中心は、店舗への卸(小売ではない)

九州の魚を中心に生きたまま魚を週に何度か運ぶ → 生簀にうつす

→鮮度の良い魚が購入できる中之島漁港

 

なんばひろば改造計画

関西空港から向かうと大阪入口にあたる難波のタクシープールを人の居場所に

オフィスエリアには人は住んでいない、仕事が終わると直帰

アンケート結果では、最寄り駅(なんば駅)滞在時間は0分 

若い人、新しい人がチャレンジできる場所を作る

 

長門湯本みらいプロジェクト

安倍首相のお膝元、プーチン大統領も来街

新しい温泉地での過ごし方をデザイン

 

社会実験をする

現場を動かす、体感してもらうため、社会実験を実行する

その結果を元に、計画を作成(結果、結果にコミットする)

人が居る風景をつくる、写真にこそ結果が現れる

 

まち医者的な、コンサルタントでありたい

専門家が細分化している(計画・現場・ランドスケープ等)

本来は地域の人に寄り添ってあるべき、内科の先生のような

何が原因かはわからないいけど、具合が悪いと思ったらまず

見てもらいたいと思われ、来てもらい、それから外科なのか内科なのかを判断

そのためには、まず地域との信頼関係

 

デトロイトについて

研究時代に取り上げていた都市、昨年訪問

デトロイトは、アメリカ北部のミシガン州

公共サービスが滞る、警察に電話しても通報から1時間程度かかる

殺人事件が毎日のように起きる

ルネッサンス本社、GM本社、周辺は綺麗な建物と公園

明るくて、アメリカらしくて

そんな場所から、歩いて10分ほどのところにゴーストタウン

10年以上空いている空きビル、空き家が犯罪の温床になっている

ミシガン中央駅は、30年前から鉄道が止まっているが駅舎はそのまま

 

プレイスメイキングとは何か

まちを歩いていて疑問を持つ

テーブルや椅子等の人の居場所はあるのに、人はいない

テーブルや椅子に鎖がつながっているから?

設計して工事をしたら、ハードとしての空間は完成する

ものの形態 と 活動 と 印象 を作るのがプレイスメイキング

建物以外のデザインもする必要がある

 

良い場所には、10種類くらい活動がある

人が大勢いることよりも、活動の種類が多いことを豊かさと定義

歩ける範囲の地域のなかに、10箇所くらいの良い場所があれば豊か

 

その10箇所に対して、テーマごとにワークショップを実施

例えば、この場所を良くするにはキッチンカーがあると良いと意見が集まる

そこで、キッチンカーばかり集めたワークショップを実験する

どういう場面に住民が、キッチンカーを利用するのかを観察する

例えば、キッチンカーで飲食を提供してみると近所に学校があり需要を確認

 

その上で、(ハード的整備である)電源・上下水道等の整備を図る

本当にそれらが必要かを、実験で確認しながら実証し進めていく

民間開発は、商業等のポテンシャルがあれば自ずと民間が力を入れて進める

 

そして、10箇所を同時に実験するのは困難な場合は3箇所に絞って始める

植栽を綺麗にしてみましょう、キッチンカーをおいてみましょう 等の

項目を決めて実施

 

絵を描いてみせる

絵を描いて、次につなげる時まずできることからやってみる

例えば、一時的に車を止めて歩行者専用空間をつくったら

人が来ることをわかり、ニーズがあることを確かめられる

 

デトロイトが破綻した時、白人は治安が悪くない郊外へ転居

通りの近くには、バスケットのゴールが常設されたまま

順番を待って居るときも、観戦するときも座るベンチにはメッセージが

“ここはゲームゾーンなんだから、顔を上げて!ゲームを見ようぜ!”

 

芝生と椅子とテーブルに、チェスを持ち込む

芝生をはいでビーチにする、子供を中心に集まってくる

砂場から、遠目に眺められる居場所

大人も乗れるブランコ、LRT来るまでブランコに乗って待っている風景

真っ赤なパラソルと椅子だけが置いてある風景

できる範囲からの集中投資、そして利害関係者の整理

 

あそべるとよたプロジェクト

“つかう”と“つくる”の両輪で進めるプロジェクト

この体制が画期的であり、最初に体制をつくる

市民の意見を聞きましょう!ではなく、

プロのチームが決めた提案の発表を聞いていただき、市民から意見をもらう

プロジェクト名も市民と決めた

市民の7割以上がトヨタ自動車の関係者

毎朝呼気のチェック、週末にまとめて飲みにでかける地域性

平日は夜に人がいない、週末は超満員

これから整備する広場を作って実験することはできないので、

既存の広場的空間を活用しての実験プログラム

市民からどのように使いたいかを募集

ストリートスポーツ、僕たちのパンクの聖地復活、プラネタリウム等

最初、1週間だけテーブルと椅子を並べてみるなど細かく実験を重ねる

実際、テーブルと椅子を置いてみたら、とても活発に使用された

結果、通行の邪魔にならない、民間の飲食スペースを開業

道を尋ねられたら教えたり、みずみずしく光る植栽の管理等のホスピタリ重視

翌年は、コンテナを設置し本格的に開業

期間は、1年目は1ヶ月、2年目は半年、3年目は10ヶ月

ペデストリアンデッキの通行者は2万人/日

複数の広場で実験したが、稼げる場所はペデストリアンデッキのみと判明

 

ハーフメイドする

給排水設備の位置や電気容量等は、実証実験をしながら確認

舗装をしておけば、イベントをやりやすい等もわかった

なんとなくできることを聞くのではなく、具体的な企画・テーマでグルーピング

結果、矢作川流域チームが流域産材で制作した遊具を仮置きで設置し、

大きな将棋盤を地域の森林組合が制作し、囲碁・将棋会を広場で開催

地元のアウトドアメーカーからサンプルを借りたりするチームも

行政の補助金はなし、許認可等は行政(市役所)でまとめて申請手続き

自らの行動が伴うくらい本気であれば将来的な広場活用者になると想定

 

ストリートパーク

土が残って居ると釘が打て、アンカーが打てるのでハンモックも可能

グランパスのホームでありながら、ストリートサッカーができる場所はない

(公園でもボール遊びは禁止)

ストリートサッカーは周辺にギャラリーがいるため、

ボールが外に出ることはないと説明し実施

 

単純に広場を整備するのではなく、初日にみんなで作ってから

はじめると、みんなが大切につかう

スケートパークはできないけど、コンクリートであればスケートも活用できる

レイアウト・水道の位置等を検証するため、告知なしで実験を実施したが、

通行者が立ち止まり眺めていくため、滞在・滞留時間が発生

 

プレイスとなった空間の豊かをどう測るのか

スケートパークで生まれた光景の豊かさは、これまでの指標分類では測れない

人が50人いる。とうだけでは豊かさとは伝えられない

では、どちらのような状態を目指しているのだろうか

これまでは、スケボーをするために豊田から名古屋まで通っていた

人の数が単純に増えることも重要であるが、

待ち合わせをする・飲食をする・飲食を購入できる等の行為の種類も大事

グラフを作成することで定量化される

スケボーと囲碁が同時に成り立っている広場は、豊かなのではないだろうか

 

◯七商店について

行政がタッチしないで、そのままのポテンシャルに民間が投資し魅力向上

(現状写真→実験写真)この場所で発生するアクティビィテの特性をわかった

上で設計図を作成しているこの計画書の凄さ

クールな演出空間、スマートなキャッシュオンの運営のため素敵なお客さんが集まり、気立ての良い女性をホステスとしてスカウトする風景もうまれた

聴覚障がいの常連さんが隣のお客さんに奢る楽しみ、スタッフは手話ができるようになり、カップルが9組うまれる、半年の成果

 

公道で日本初のFMXを開催

キラキラ系の女の子、タトゥーのはいった青年、家族連れが一緒にいられる

自分の居場所があるところは、豊かな地域

街での居場所の増加、生活の質の向上、街への愛着が醸成

 

なぜ、プレイスメイキングに行き着いたのか

高校時代、校則もなく、制服もなく、連合の色に髪を染める

所沢生まれ、東京都庁の職員が多い家族

東京都庁の食堂に行く、これが都市かと感じる

建築都市デザイン学科に入学

都市で暮らす、実家から出て高円寺に暮らす

キャンパスが新宿、歌舞伎町が好き、暴力と死ぬ可能性がある都市

生きているのか死んでいるのかわからない人がいる都市

ぼったくりバーでテキーラを飲んで潰されて50万円の請求書で人生初の借金

ドンキホーテのランドマークでは味わえない都市の暮らし

ライフワークに出会う

新宿歌舞伎町の中華料理、店があるのにわざわざ簡素なテーブル椅子を出してストリートで飲む、線路の谷間に飲食店、外で飲むのがいい

やっぱり歌舞伎町が好き、燕山荘で生ビールジョッキ、空き地で飲む

洒落たピクニックをしている、船で飲む、中之島駅のホームにておでんで飲む

植栽帯、新宿路上、配電バー、選べるという豊かさ

利用者側の構想力が街を面白くする

僕ら暮らしは、もっともっと楽しくできる

 

質疑応答でのコメントから

>出だしが良かった。水辺の量の問題は大きい。人さえ居れば何かが生まれると考えている。人が街に出かけるようになったら少しはまちが変わるのではないか。ポテンシャルを引き出す目線で自分の街を観れるかどうか。富山県人の真面目さが邪魔をしているのではないか。富山の印象は?

・富山のわかりやすい良さは、懇親会の場所を決めてなくても、まずはグランドプラザ集合でそこから行く店を決める文化が醸成しているのところでは。必然的にいく場所がある。スーパーとか歯医者、保育園とか、日常的にいく場所と自宅の動線のなかで面白いことが起きるようにする。例えば10万人の地域でも、密度を高めれば賑わいになる。グランドプラザは密度を高めるための場所になっている。街にグランドプラザのような場所があるのは羨ましい。お店でないところ、大都市ではそういった密度感は希薄になる。人と出会う機会は少ない。大都市でない中核都市のポテンシャル。

 

>空間の豊かさを図るためにはアクティビティの豊かさだとわかったが、発注者側がわかってない場合はどうするのか?

・まず、飲みにいって体感してもらう。業務の中で調査項目がなかったが自費で実施したこともある。春夏秋冬、季節ごとに市の担当者と調査した。その結果、実感を伴った上で実施できたことが多数。市長からラグビーワールドカップの前に駅前に人がいる状況をつくれとの指示。来街の頻度をあげる、密度をあげる、100人が100回くるような状況を作るためにはどうしたら良いか。飲食等、来街する理由を作る、5分でなく、30分いたくなるような状況作る。話し相手になる店員を雇用する等、いろんな経験をすることで、街が好きになる。

難波はインバウンドのために、居心地の良い滞留空間を作る。情報だけは集約捨つるためにQRコード等も検討。ハッチになる、出前が取れる、広場ではイベントの実施はあまりしない。

ページの先頭へ