レポート

まちづくりセミナー2010

まちづくりセミナー第五回講演録 講師:時澤正氏

2011/06/06 

「テレビマンからみたメディアの未来~映像と人と地域を繋ぐ~」


講師:時澤正氏 フジテレビ経営企画局放送事業推進室デスク担当部長
東京大学法学部卒業後、通産省(現・経済産業省)勤務を経て、
1989年(株)フジテレビジョン入社。
政治部記者、パリ駐在の後、「THE WEEK」「スーパーナイト」「情報プロジェクトS」等のニュース系情報番組のプロデューサーを歴任。
現在、フジテレビ経営企画局放送事業推進室デスク担当部長として、ブロードバンド時代の放送事業及び周辺事業の企画立案にあたっている。
一方、2006年にフジテレビ初の社内ベンチャーとしてフジテレビラボLLC合同会社を設立、代表を務めている。
フジテレビラボでは動画サイトの運営のほか、映像・インターネット・放送を組み合わせた様々なサービスを企画し、企業、大学、地域向けのPR、IR活動等の支援を行っている。

 

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◆はじめに(時澤さんが行っていること)


・これからのテレビの在り方について考える部署
・地域の町興し番組の制作
・中小零細企業の社会貢献型の企業PR番組の制作

番組制作者の想いをこういう風にPRしてほしいなという

地域の方の想いがすれ違ってしまうことが多いが、お互いの想いというものを考えながら仕事をしている。

一方で、インターネットを中心とした様々な新しいメディアサービスが次から次へと生まれている中で、
テレビ局(迎え撃つ側)として、どういう風に新しいサービスと付き合っていけばいいかをはっきり考えざるをえない状況。

→皆さんがどういう風に今後の新しいメディアを捉えて(使って)いけばいいのか、そのヒントになれば…

 

◆話の流れ


前半:フジテレビの見学
お台場は中国からの観光客が山のように来ており、その中でフジテレビは観光客が必ず立ち寄るスポットになっている。
そういったフジテレビについて写真を用いて、見学して頂きたい。

後半:新しいメディアと私たちはどう向き合っていくか。どう捉えるべきか。
メディア、映像というものは何なのか。
地域はそれをどのように活かしていくのか。私なりの考えについて。

 

◆時澤さんの経歴


平成元年にフジテレビ入社。
一昨年に現在所属している「フジテレビ経営企画局」に配属。
フジテレビとして新しい事業にどうやって付き合っていくか、
新しいサービスを用いて何か新しいことは出来ないかという放送外、
放送関連事業を行っている。

その中の一つとして、フジテレビラボ(インターネットを中心とした映像サービスの会社)を作り、
インターネットと放送を組み合わせた形で何か世の中にサービス出来ないかということを、
新しく模索していく会社を自ら立ち上げ社長をしている。

午前中はフジテレビの社員、午後はフジテレビの子会社であるフジテレビラボの仕事をしている。
その中で感じたことをいろいろとお話できたら。

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◆フジテレビラボで行っている番組紹介  ※どちらもBSフジ・日曜日夜に放送中。


・地域救済TV『ワッチミー!テリー塾』
~自分の町や特産品を“ワッチミー”してほしい
悩み多き商工会の有志が全国各地から入塾!~

町が上手くいかない、
なかなか新しいサービスが上手く浸透しないことの一つの原因に
コンセプトメーキングが上手くいかないということがある。

そのコンセプトを一緒に考えていこう、町の課題や現状を番組で紹介し、番組内で新しい町のサービス、
特産品のコンセプトを考えて地域と商品に活かしていこうという番組。

 

・『社長密着24時~世界を変える100人の挑戦者たち~』

社会貢献型、創意工夫、エコなどの分野で注目されている企業の社長に密着。
24時間追い、30分番組の中で紹介。

 

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◆フジテレビ見学


 

・外観
フジテレビ上部の球体:
昔は幹部を収納する計画で作られた。今は展示&展望室になっている。

・様々な商品
ただテレビ(番組)を作っているわけではない。
ただテレビを作るだけでなく、DVD、インターネット配信、
テレビ番組から出た映画制作、イベント実施、
ゲームコンテンツ・携帯向けコンテンツの制作、
デジタルコンテンツを売るだけでないリアルのものを販売する店舗作り、
自社のコンテンツを活かした地域の様々なテーマパークの再生・コンテンツ展開(ハウステンボスなど)
などを行っている。

・番組
報道、情報番組、スポーツ、ドラマ、バラエティ

・会社について
社員:1500人(内20%ほどの人間が番組制作をしている。
つまり80%の人間は番組制作外の仕事を行っている。)

部署[編成]:番組を取りまとめる部署。
編成は各番組をタイムテーブルにまとめる仕事と思われがち。
しかし、フジテレビの編成は、「フジテレビの中のフジテレビ」と言われ、
あらゆる権限を持っている。
国の役所で言うと、財務省のようなもの。

各省庁と合体して予算の権限を持っている財務省があるのと同じように、
各番組に関して24時間の枠を振り分けるのはもちろんのこと、
年間の1000億円以上の予算を振り分ける権限を持っている。
特にフジテレビの編成が強いと言われるところは、
編成自身が番組を作っているところ。

実際には、編成はフジテレビの自社が持っている様々な部署
(報道、スポーツ、ドラマ、バラエティ等)を通さず、
外部の制作会社に発注を行っている。

(例)1本のドラマを作る場合…
普通はフジテレビのドラマ制作局が作る。
しかし、編成は編成で外部のプロダクションに発注することが出来る。
つまり、内部の2重構造になっていて、内部局であっても安穏としていられない。
視聴率を取らないでいると編成から自分たちの番組がなくなってしまう、
会社の中にいても常に競争の環境に置かれている。
その競争を仕切っているのが編成という仕事。
フジテレビの視聴率がいい一つの要因としてこの編成が挙げられる。

・番組外の仕事
番組というのは、1日24時間しかない。
それ以上の売り上げを上げていくために様々なことを行っている。

夏のイベント(お台場合衆国、お台場冒険王)、
クーザ(シルクドソレイユ、サーカス)の興行、
映画(踊る大捜査線、海猿)、携帯向けコンテンツ、
ゲーム、DVD、番組と連動した商品開発など

・その他の部署
美術、システム、営業、宣伝、
ネットワーク(フジテレビ系列間とのやり取り:FNS各局)

・フジテレビの放送種類
地上波のフジテレビ、BSフジ、CS(ONE、TWO、NEXT:3種)の
合計5つの波を現在は出している。

・内装
1階ロビー:グランドプラザのような大きな画面がある。
エレベーター:内部に「エレビ」というエレベーター内のテレビがあり、
番組宣伝や社員間の連絡事項も流れる。
健康診断の呼びかけなども番組仕立てでミニ番組化して放送したりする。

・部署[情報制作局]:全部で300~400人のスタッフ。
内50人は社員、他300人は外部社員。
社員だけでは成り立たない現状。
「とくダネ!」「めざましテレビ」「ミスターサンデー」などを作っている。

・出演者(以下、報道番組を例に紹介)
タレント、キャスター、リポーター、コメンテーター、ナレーターなど

・スタッフ
プロデューサー、アシスタントプロデューサー、
ディレクター、アシスタントディレクター(AD)、
放送作家、リサーチャー、校閲(テロップのチェック)
※番組と向き合いたいとき、プロデューサーの上に
「チーフプロデューサー」がいるかもしれないので注意!
プロデューサーは番組の責任者ではあるが、
番組と向き合いたいときはチーフプロデューサーの方がよい。
※最近は、さらに「エグゼクティブプロデューサー」
「ゼネラルプロデューサー」というのをつけることも多い。
番組後のテロップを参考にしてもらえるとよく分かる。
演出、総合演出という肩書きにこだわる人もいる。

・プロデューサーの仕事とは何か(ディレクターとの違い)
基本的に番組の最終責任者。
絶対にやらなければならないことは「企画をすること」、
「放送時間と予算を獲得すること」の2つ。
24時間しかない1日のスケジュールの中からとにかく時間を取ってくる。
また、1時間の番組は地上波の場合は1000~3000万の予算がかかる。
そのお金を取ってくる。

世の中に受けるのか、
みんなが本当に何を見たいのか(マーケティング)を考えるのが重要。
また、スタッフ(ディレクターや演出家)や出演者のキャスティングも行う。

基本的に最後の最後の脚本を書き上げるのもプロデューサー
(脚本家もいるが最終権限も持っている)。
番組のストーリーそのものを変えるのも仕事。

映画で言えば、資金集め、
最終的にそれがどのくらい見られるかの管理や広報宣伝などを担当する。

・ディレクター
プロデューサーのもとで実際に番組制作を行う。
いわゆる番組制作で想像する世界。
実際にカメラを回し、取材に行き、放送する。
一般的によくポロシャツをしてカーディガンを巻いているイメージ。
プロデューサーはスーツのことが多い
(謝るためのスーツをロッカーに常備している人も多い)。

映画で言えば、まさに監督の仕事。

・番組制作の流れ(日曜夜の報道番組の場合)
取材(土曜日中から土曜夜まで)→編集(土曜夜から日曜の昼まで)→放送
※1時間のドキュメンタリーを制作する場合:
取材で撮った6~200時間のVTRを、編集は1時間に収める。
企画段階1ヶ月、取材1ヶ月、編集1ヶ月の計3ヶ月ぐらいかかる。
テレビを作るのは共同作業のイメージがあるが、編集はまったくの孤独作業。

チーフディレクターは項目表というものを作る。
「とくダネ!」は月~金まで放送しているが、
曜日で班が分かれ(月曜班、火曜班など)個々で番組を作っている。
1週間で1度担当するイメージ。
構成作家というものがディレクターのもと、記事を書く場合も多い。
VTRの音楽、スーパーテロップ、ナレーターを
どのタイミングでいれるかの指示を生で出している。

・スタジオ、セットの様子(写真)

・視聴率速報
毎朝9時になるとヤツ(=視聴率速報)はやってくる!
プロデューサー、ディレクターにとって一番大切になるもの。
ビデオリサーチからADが書き写し持ってくる。
そこから1分ごとにディレクターが書き出し表にまとめる。
具体的な項目や、そのときスタジオだったのか、
VTRだったのか、中継先だったのか、
担当者は誰だったのかということが毎日のように上がってくる。
後日、まとめられ貼り出される。
常に数字というものと背中合わせの現状がある。

・衣食住+テレビ
まだまだテレビというものは、
多くの人に見てもらっているメディアではないかと思っている。
生きていく上で必要な衣食住にプラスしてテレビというものを考えている。

私たちの生活は衣食住以上にメディアというものに支えられている場合が多い。
衣食住+メディア。
このメディアの中でテレビがどれくらいの割合を占めているかが大切になってくる。

・テレビがメディアの中で占める割合
昨年は、1家庭あたり1日で7時間43分テレビをつけている。
最も見ているのは50歳以上の女性(約6時間)。

・完全デジタル化(地デジ化)
デジタル化はすでに始まっていて、7月24日にすべてデジタルになる。
7月に入るとアナログ放送終了のカウントダウンが始まる。
7月24日の正午になると画面が真っ青→お知らせ画面になり、
24日の24時に砂嵐になる。

・地デジ化の意味は何なのか?
1つはキレイに、ハイビジョンで見える。
もう1つは、データ放送が同時に送れる。
例えば、スポーツ番組だと各選手の情報を送れたり、
その地域のニュースや天気を合わせることが出来る。

耳の不自由な方に対して字幕が出たり、
ワンセグ放送が出来るなどの効果がある。

また、もう1つの意味として、デジタル化することによって
今までのテレビ番組を送るのが3分の2ほどの周波数帯で済む。
残りの周波数が空く。

残りの3分の1は携帯電話に用いることが出来る。
基本的に世の中のメディアは、
テレビからだんだん1人1人の使うパーソナルな携帯サービスの方に
全体のベクトルが向かっているのではないか。
そういう携帯こそ、これからの映像サービスを行う際に外してはいけないものだと思っている。
まさに電波の中の中心は携帯ではないか。

・携帯のスマートフォンについて
基本的に使いにくい。iPhoneは比較的使いやすい。
しかし、iPhoneはコンテンツを落とすもの。
こういうスマートフォンというのは、それだけではない。
いわゆるオペレーションまわりもコンテンツで落とす。
いちいち使い勝手が悪いということを言うのではなく、
使い勝手のいいソフトを落として利用する。スマートフォンはそういうもの。

iPhoneはガラパゴス携帯とスマート携帯の中間。
アンドロイド携帯はすべて自由。どこから何を持ってきてもよい。
全部自分で機能もコンテンツも入れて遊ぶもの。
どうやらそれがアンドロイド、スマートフォンの時代。

まさに、スマートというのが、
これから、テレビの、映像の、様々なシステムが向かっていく世界である。

今、現在最も使いやすいのは「ギャラクシー」。
ギャラクシーが出た時点で、
日本のメーカーは韓国に抜かれたと認識するのが普通だそう。
ギャラクシーが出た時点で、
日本は韓国に追い付かれたのではなく完璧に抜かれて、韓国が先生になっている。

中国のGDPが抜かれたなどではなく、
技術の上で韓国に抜かれてしまったというのは感じなくてはならない、今シーズンに入っての大きな動き。

スマート時代は、決してスマートに使えない。
ゴツゴツした感じ。いろいろなものを自分で機能を見つけ、
自分なりのカスタマイズをしていく。
宇宙空間のようなところに、メディア、映像、パソコンの世界は飛び出していくのではないか。

 

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・テレビの憂鬱
テレビは世の中がスマートに向かっていくときに、どこに行くのであろうか。

日本の広告費は約6兆円。
昔は約2兆円がテレビ。今は1兆7000億円ぐらい。
5年連続、減少傾向にある。

インターネットは上昇している。
インターネットは2004年にラジオの総広告費を抜き、
2005年春にはライブドアが日本放送を買収しようとした。
2006年には雑誌を、2009年には新聞を抜いた。
みんなインターネット、スマートフォン、
iPadの世界に抜かれていくのだろうかというのがテレビの悩みになっている。

テレビをつけている家庭は1997年のゴールデンタイムには70%いたのに
2007年には64%になってしまった。約1割減。
テレビ業界だけで争っている時代ではない。
争っていた結果、テレビ全体のマーケットが狭まってしまった。
各東京のテレビ局は、デジタル化に伴い上場した。
つまり、株主がいる。成長性のない株価は下がってくる。
テレビというものは、決してメディアの中で王者とは呼べなくなってきている。

・今のテレビの状況
今まで映像を見る手段というのは、テレビしかなかった。
しかし、今はテレビだけでなく、パソコンや携帯電話がある。
また、その他のiPadやゲーム機器のような端末もある。
人間の24時間に接するメディアとしてテレビというものが少なくなった。

もう一方で、テレビの中にYoutubeやUSTREAM、
ネットの書籍、ゲームなど、いろいろなものが入ってくる。

しかし、逆に、ユーザーにとってみたらこんなにいいことはない。
昔からなぜテレビや新聞があるかというと、情報にギャップがあるから。
情報を知っている人と知らない人がいるから。
だから、テレビ局や新聞社、出版社などが中で介在してビジネスにすることが出来た。

それがだんだんとなくなってきている。
情報はいろいろな所から取ってこれる。
つまり、インターネットの発達により、
誰でもどこにいても様々な情報を取れる状況になってきた。

それとともに、ただ取れるだけでなく、
発信することが出来るようになり、
生中継で世界中にインターネットで配信することも可能である。

これは考えようによっては、
テレビ局にとっては嬉しくないかもしれないが、
一般の人、会社の人、地域にとっては、これを活かしていかない手はない。

まさに、メディアというものを、
メディアを持つ人・持たない人と別れていた時代から、
相対的な時代に入ってきたのではないかと思っている。

なので、残念ながら、メディアを志望する新入社員も相当減ってきている。
昔のような騒ぎにはならない。

それは何故かというと、新聞社、テレビ局、出版社、ラジオ局に入らないと
何か世の中に発信することが出来なかったのに、
今はそんな所に入らずとも、自分で、自分の家の中から何かを発信することが十分に可能である。
そういう意味において、情報は民主化されている、
そういう時代に皆さんはいるのではないだろうか。

・今は・・・
町には映像があふれていて、いろいろな形で映像を使う機会になった。
また、一人一人が発信者になれる時代。
大手メディア、マスコミからしてみたら残念な状況であるが、
ユーザーという生活者からしてみたら、非常に楽しい時代に入ったのではないか。

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今どきの映像サービス


 

・今年のキーワード(トレンド):「スマート、ソーシャル、3D」

 

◆スマートTV…


テレビの中にインターネットが入ってくる。
そのような切り替えがボタン一つでサクサク出来る。
テレビの映像を含めたパソコンライフが実現する。
スマートな世界において、アメリカばかりを見ているのではなく残念ながらかなり韓国が来ている。

◆3D…


3Dを見るためにはメガネが必要で、3Dが見れるテレビが必要。
これが日本では少し厳しいのではないか。
何故かというと、7月24日に地デジ化するということで、
かなりの家庭がテレビを買い換えてしまっているため、
また3Dテレビを買うという状況には至りにくい。

3Dというのは、世の中の人がすべてテレビを買い換えないことには、
すべてその放送にするわけにはいかないような状況。
なので、このまま地上波に3Dを持ってくることはないという現状。

2月26日に任天堂が3DSを発売する。
これはメガネをかける必要がない。
1箇所(決まった場所)から見ることを前提としているため、
大きな大画面では対応出来ない。
しかし、DSのようなものに関しては目の位置が固定されているため、
メガネなしで見ることが出来る。
奥行きの軸が増えるというのは、ゲームにおいてかなり楽しくなるのではないか。

 

◆ソーシャル…


mixi(日本で3000万人)、Facebook(世界で5億人)など。

アメリカのテレビは、ソーシャルのものを取り入れようとしている。
どこまでソーシャルネットワークが影響を持つかは分からない。
しかし、アメリカではソーシャルネットワークの影響がかなり広がっている。

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・去年のキーワード

◆デジタルサイネージ…


双方向性があるもの。
屋外にある映像広告+パソコンのイメージ。
なんとなく流行りつつあるがどのようになるかは分からない。
東京の駅にいくつかある自動販売機は画期的。
自動販売機前に立った時、その人の年齢や性別などを認識し、商品をお勧めしてくれる。
そのことによって、飲料メーカーは客情報を得ることが出来る(マーケティングに利用出来る)。
不動産屋の物件検索システムなどもある。

 

◆Youtube、USTREAM、ニコニコ動画…


Youtube、USTREAMにおいては、ビジネスモデルが見つかっていない。

 

◆Facebook…


アメリカではほぼ多くの人が名刺に入れている状況(FBで表記)。
日本は匿名性が非常にあるので、
Facebookのように実名でコミュニケーションをとるのは難しいのではないか。
また、mixiというものが日本では非常に頑張っており、
twitterに移行せずmixiに留まっている大学生も多い。
また、mixi世代から下はプロフというサービスを用いているので、
果たしてFacebookがどのように浸透していくかは分からない。

 

◆グルーポン…


激安情報が送られてくるサービス。
毎月700人ずつ営業マンを採用していくぐらい拡大している。

◆ボンパレ…


リクルートが行っている、グルーポンと似たようなサービス。

 

このようないろいろな映像、ソーシャルサービスというようなものが流行っている。

こういったものをそれぞれ組み合わせることによって、
自分の店を流行らす、自分の地域を知ってもらうということに役立つのではないかと感じている。

 

・新聞、テレビ、雑誌の未来の形


「大画面壁掛け」「デスクトップ」「ブックリーダー」「モバイル」、
大きく分けてこの4つのデバイスに分かれるのではないかと思っている。

実はこの中でもモバイルが中心になる。
何がモバイルが特別かというと、モバイルはそれ自身がメディアであるとともに、
これらすべてのリモコン化していくことが予想される。
家庭内のリモコン権のように、
家中のメディアのコントロール権を持つ端末になるのではないか。

このモバイルがスマート、アンドロイド化するというのは注目せざるを得ないこと。
すべてスマート化している以上、世の中の様々な情報がここに飛び込んで来るし、
自分からもこれらを通じて世の中にいろいろなテキスト、写真を発信していける。

1個1個のメディアで何が起こるかというと、
世の中の人々の多様化に応じて細分化されたサービスが提供されるようになってくる。

これによって個人個人の生活は充実し、一種のオタク化してくる。
個人個人の世界が尊重され、その個人にピッタリのコンテンツが来て、
コンテンツを見るようになる。

新しいメディアとどう向き合っていくか。どう捉えるべきか。

こういう時代だからこそ、改めてもう1度、テレビというものに注目してみたい。
Facebookというものは確かにいろいろなものを繋げる。人と人を繋げる。
イメージで言うと、Facebookが人と人を線で繋ぐのだとしたら、
お茶の間にある大画面というものは、人と人を繋ぐというよりは、
家族と家族の絆を繋ぐ、家族という場を作る。

テレビというのは、視聴率もあるため、
みんなが興味を持つような最大公約数的なものを出す。
だから、サッカーのようにみんながそこを共有する、面が出来る。
テレビは面を作る。

しかし、SNSは面を作るというよりは人を作る。
5億人が線で結ばれているイメージ。
それに対して、お茶の間のテレビというのは、そこに家族を座らせる場を作る。

紅白歌合戦というものは、家族をとりあえずそこに座らせるということで、
絆を作る、面を作ることによって意味があるのだと私は思っている。
このテレビの役割みたいなものを忘れたくはない。

イメージでいうと、テレビはDSではなくWii。
家族みんながコミュニケーションを取って遊ぶことが出来る。

そこの違いというのが、これからスマート化、ソーシャル化が進んでいく中で、
常に意識して考えていかないと、
メディアというものは本当に人々を幸せにするかなと私は憂いている。

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◆グランドプラザのビジョンに何を流すのが適切なのか


そういった中でグランドプラザのビジョンに何を流すのか。
ここが作るのは、ソーシャル、線と線を、
点と点を結ぶのが必要なのではなく、空間を作るということが重要。

そうしたらここに何を流すのかというのはおのずと見えてくるのではないか、
そういう観点から考えていったらいいのではないかと思っている。

ちなみに、テレビというものは、みんなが見ることが出来る。
ここにあんまりマニアックな映像が映っていては、見る人が限定される。
みんなを集まらせるために、場として使うメディアであったら、
それはテレビ的なものを用いていかなければならないと思っている。

・ODS(other digital stuff)
映画館で映画以外のものを見させる。
例えばK1やミュージカル。
まだ行ってはいないが、クーザというものを映画館で3Dで同時中継的に見せるなど、
そういう風な大画面の使い方も出てきている。
Liveコンサートなど、どこか1箇所で行っているものを、
地方の人たちはそれぞれの映画館で見て、そこで騒ぐ。

いわゆる、スポーツバーやサッカー中継といった楽しみ方を
他の音楽やスポーツに広めて遊んだというようなイメージ。

もちろん、グランドプラザのビジョンにTwitterのつぶやきが流れたり、
Youtubeのように動画を集めるのも面白い。
だが、基本的には、ここは場を作るものだから、
最大公約数的なみんなが見れるものを流すことがいいのではないかと思っている。
ちなみに、山の手線の車内に流れているトレインチャンネルというものは、みんな見ている。
やることがないときにはモニタを見るしかない。
もし東京にいらした時には、
テレビ以外のものだと何がみんなが見るのかなというのを参考にしてもらえたらいいと思う。

 

◆ちなみに、グランドプラザのビジョンにテレビは流せるのか?


基本的には、テレビというものを屋外で流すのにはルールが2つある。
1つは製作者の権利。もう1つはテレビ局の権利。
もちろん、製作者=テレビ局の場合もあるが、映画なんかの場合は違う。
2つの権利を考えなくてはならない。
製作者の権利というのは、公益的(非営利)で無料のときは特にいらない。
ただし、テレビ局の許可は必要。

テレビ局は自分たちが放送するわけであるから、
どういう風に報道されるかということを前提としていて、
普通のテレビ画面で出すのならば構わないが、
わざわざ拡大してまるでテレビ放送を拡大して放送するような、
テレビ局の伝達権に関わってくる場合は、
テレビ局が許可を出さない限りは駄目。

つまり、大きい画面にテレビを映す (無料で非営利)の時には、
製作者の許可はいらないが、一応このように流しますというテレビ局の許可は必要。

 

◆テレビ屋の本音


自分たちで物事を発信するのもいいけれど、
やっぱりテレビで取り上げてほしいという場合…
テレビ屋はすぐ「それって視聴率取れるのかな?」と考えてしまう。

どういう風に伝えれば、テレビ局の人に伝わるか。

「テレビは感情である」
テレビは情報のように思われるが、テレビは感情である。
楽しくないとテレビでないというフジテレビのキャッチコピーのように、
ネタ探しとは世の中に強い感情が動いている場所はないかなと思うことであって、
取材というのは誰かの話を聞いてその中で感情を切り取れないかなと思うことであり、
演出というのはその感情をより強調させることである。

そのための感情をより深くするために司会者を入れたり、
ゲストを入れたり、BGMを入れたり、テロップを入れたり、
カメラワークを入れたり、照明を入れたり、ナレーションを入れたり。
すべて、感情に向けてすべてが動いている。

結果的にそこに情報が付いてくることもある。
情報と感情というのは、テレビを作る際の車の両輪。

 

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情報をリリースする際の作戦

①そこに“今”はあるのかい?

テレビというのは、なんだかんだといっても今を流している。
つまり、そこに「今」があるかどうかを考えてほしい。

発信している情報の「今」というのは、時代のキーワードでもいいし、
季節のキーワードでもよい。例えば季節なら雪解けでも花粉症でもよい。

時代のキーワードならエコとかデフレとか中国がどうしたとか、
何かそこに「今」があるかどうか、
ないならなんとかそこに結びつけてリリースを出来るように発信して頂きたい。

②強いタイトルで正面突破

テレビ局はタイトルに凝る。
中身にも凝るし、強いタイトルがうけるかどうかを常に気にしている。
新聞に書いているようなものが強いタイトル。

具体的には、よくある「世界で1番」「世界で初めて」「超○○」「激安」
「イケメン」「絶景」「なんとかとなんとかの100日戦争」「○○物語」などの
強いタイトルをつけてリリースするとテレビマンの目には届きやすいのではないか。

③答は司会者である

企画会議などをする際に、
一番声が大きいのはプロデューサーでもディレクターでもなく「司会者」である。

情報番組の司会者というのは、その番組の中で最も力を持っている一人。
特に内容に関しては最も力を持っている。

だいたい、自分が視聴者だと思って作っているのが司会者。
なので、逆に逆手に取ると、司会者の趣味を考えて上手く合わせてやっていくといい。
司会者が何が好きかを考えて作ってもらえるとネタになるのではないか。

決してテレビを頼るのがいいとは思いませんが、
まだまだ日本のスマートフォン、スマートTV、スマートPCは始まったばかり。
そういったアプリ1つをとってみても、なかなかテレビの力に及んでいない。
だからテレビの力を使って大きくなろうとしている。だから、まだまだテレビは強い。

テレビはテレビで利用出来る部分は利用する。
でも、その一方でスマート社会に向けて、
1人1人がいろいろなコンテンツを宇宙に向けて発信する、
その時に何と何を組み合わせたらいいかということを考えながら発信していく
リテラシーということが現代人の私たちに求められていることであると思う。

かなり私見が入りましたが、
今、実際にテレビ局に働いている一人のテレビマンの考えることだと
受け止めて頂けたらと思います。今日はありがとうございました。

 

 

◆質疑応答

Q.先ほど紹介にもあった「グランドプラザ」のビジョンは公共の色が強いということで、
人と人が一緒に見る、繋がるという面でかなり有効であると思います。
その中で、富山ではあまり他にそういう場がないので
都会などでこういう事例はなかなか面白い、有効だという事例があれば…

A.ビジョン系の話で、都会系の話であると、
とにかく人が立ち止まるところにはみんな映像がありますよね。

エレベーターホールでも駅のホールでも、
人間が立ち止まるところにはすべて映像がある気がします。
たぶん今後、世の中の交差点の壁のビジョンの奪い合いが始まるのではないかという風に思っている。

東京で一番それがはっきりしているのは、渋谷のハチ公の交差点。
全部で5面ほどのビジョンがある。

ただ、そこはビジョンがあるから人が集まっているわけではなく、
あくまで人がいる所に人がいるだけ。
ビジョンを、人を集めるツールとして使うわけでなく広告の目的になっている。
だから、逆にビジョンを使って何かを集めるという意味においてはそんなにまだない。

だからこそ、逆にこの富山の試みは先進的な試みであると捉えている。
あくまで今あるのは、もはや人が既にいる所にビジョンがあるのであって、
ビジョンを使って人を集めていこうというのは新しい試みなので、
ぜひ逆に何かを参考にするより自分たちがフロンティアという気持ちで頑張ってほしい。

Q.(マイクがないため聞き取れず)

A.地域の情報というのは、創意工夫しているし、実際に何も東京に劣るものはない。
ですから、地域の実際の旅行番組みたいなものは数えてみたら相当な数があると思う。
BSなどには本当に旅番組などが多く、
もう十分取り上げられているのではないかと思っている。

ただ、とはいっても地域は広いので、
取り上げている側としてはたくさん取り上げていても、
私の町のここが取り上げられていないというのはいくらでもあるわけで。

そういう時にメディアに乗っけるのにいいことは、
「物」の情報としてではなく、「人間」の情報として乗っけること。
それを作って代々やっている家族の物語とか、
それを作るのに奔走している○○さんの話とか、
何か物とか情報にまつわる人間情報があるはず。

そういう人間情報をすくい取って番組化するのが、
テレビが欲している「感情=喜怒哀楽」になる。
何かがデータ的な話ではなく、おいしかった時の顔であったり、
それを生み出すまでの汗と涙の物語であったり、
そういうようなものをテレビは欲しがっている。

地方にはそれぞれの人の顔があるはず。
そういう人の顔を普段からすくい上げる努力をして頂くとともに、
番組に対して何か発信する際には、そういった人間情報をつけて番組に発信してもらいたい。

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